個人レベルでは、資産と聞いてイメージするのは戸建住宅やマンションなどの不動産、有価証券、契約書類、自家用車、腕時計、PCなどだと思います(もちろん、記憶や思い出などの無形資産もあると思いますが、ここでは狭義の資産とします)。マンションの住戸であれば、例えば電球が切れたら(今はLEDでなかなか無いと思いますが)交換しますし、壁紙が汚れたら貼り替えますし、水回りが陳腐化すれば更新したりします。これは多くの方が意識無意識に行なっている事ですが、資産をマネジメントするという事に繋がっています。
上記の例は、一般的にファシリティ・マネジメント(FM)と呼ばれています。建物や設備などの物的劣化、社会的劣化(陳腐化)を考慮し、定期に不動資産をメンテナンスしていくというものです(不定期なメンテナンスは日常修繕の範疇になります。位置付けは「マネジメント」の外という事です)。
プロパティ・マネジメント(PM)はFMの上位概念に位置付けられます。資産を保護し、どのように活用して、収益を得ていくのかという視点において、FMは資産の保護を担当し、活用戦略はPMが担います。
細分化された組織の場合、FMの下に、コンストラクション・マネジメント(CM)が置かれます。これは不動産の保護において、具体的な工事をマネジメントするものです。工事には当然費用が発生し、PMの収益計算の中に組み込まれます。CMはPM(もしくはより上位のアセット・マネジメント;AM)によるコスト検証の対象となり、工事承認を得る形で、発注権限のみが与えられる形を取ります。
実際の不動産の運用に関わる部分を担うのがビル・マネジメント(BM)です。オフィスビルであれば現地の管理担当者と連携し、時にユーザー視点に、時にオーナー視点に立ちながらスムーズにビルを運営していきます。
こちらも細分化された組織の場合、リーシングを担当する部門が置かれます(リーシング・マネジメント;LM)。マンションやオフィスビルの空室が発生した場合、BMと連携を取りながら、広告戦略、重要事項説明、賃貸借契約対応などを実施します。
大規模な建物になるほど、当然に役割は細分化し、登場人物は多くなりますが、不動産の収益性を上げ、資産を保護し、ユーザーとオーナーの幸福度を高め、直接間接的に社会貢献する、という目標を共有しています。