中心市街地の空洞化

いわゆる周辺都市での大規模郊外店の出店が、既存商店街の空洞化とセットで取り沙汰されることが多い気がします。
先日もニュースで群馬県に海外資本の家具店が出店する事で、商店街のさらなる空洞化(シャッター通り化)を危惧する地域住民の不安の声が出ていました。
郊外の大型店は確かに驚異です。魅力的な店舗に商品が効率的・合理的に陳列され、買い物・食事・遊びなどあらゆるアクティビティを包含し、特にファミリー層を確実に取り込んでいます。自家用車でのアクセスに秀で、駐車料金も買い物金額によって無料になるなど、痒いところに手の届くサービスを提供しています。
一方、市街地の商店街は、主に個人事業の商店主の集まりであり、そこに住みながら、昔ながらの商売を継続しています。地域によっては高齢化が進み、後を継ぐ者もおらず、已むを得ずお店を畳んでしまう方もいらっしゃいます。

私は下北沢に住んで約15年ですが、この地域は基本的に郊外店と競合する関係になく、元々面的に広がりつつ定着していること、全国的に知れている土地名である事などから、比較的安定した稼働を見せている印象を受けます。
しかし下北沢の路面店にもいくつか種類があります。

・元々の住民が自ら商売を営んでいるケース
・元々の住民がスペースを賃貸し、そこを他人が借りて商売を営んでいるケース
・住民でない人が物件を所有し、自ら商売を営んでいるケース
・住民でない人が物件を所有し、そこを他人が借りて商売を営んでいるケース

主にこの4種類です。
整理すると(住民所有/非住民所有)(自ら営業/他人営業)の組み合わせになるという事です。
精確な調査はしていませんが、この中でも多そうなのは、住民所有/他人営業だと想像しています。
よくある地域商店街の構成とは異なり、外部資本が積極的に流入する商店街です。
地域とは直接関わりのない全国的な服飾や飲食のブランドが出店し、業種・業態を変えていくといったことが流動的に発生します。また、美容院や古着など、資本を貯めた若者のチャレンジ出店といった風情もあります。
お店の構成的には大型郊外店とバッティングする部分がありつつ、街歩きを楽しみながらショッピングが出来るという点で、巨視的には大型店が地域にインストールされている状態とも言える気がします(実はこのような商店街は都市部には多いのではないでしょうか)。

このような意味で、少なくとも、下北沢の街が直ちに活性を失うことは無いかも知れませんが「よく見るお店」が並んでいくことによる、地域の”個性の喪失”という点については、一抹の危惧を覚えるものです。